2012年にTeslaのModel Sが発売されて以来、OTA(Over-the-Air)技術は急速に普及し、特にここ5年でその勢いを増しています。OEMがソフトウェアディファインドビークル (SDV)開発に努める中、OTAはより一般的になり、また徐々に成熟し、車両においてますます重要な役割を果たすようになるでしょう。同時に、より多くのOTA戦略、機能、技術が展開されるのに伴い、OTAを取り巻く環境は指数関数的な速度で進化し、より複雑になっていくと見られます。そのため、独自の戦略を開発または拡張することを目指すOEMは、今日のOTAエコシステムを十分に理解し、その主要なトレンドと技術に対する正確な認識を持つ必要があります。
OTAおよびソフトウェアアップデートガイドでは、現在配信されているアップデートの種類と、それらを取り巻く最新のOEMの取り組みに焦点を当て、OTAの状況を詳細に分析しています。グルーバル規模での展開に対応するため、本書は北米、欧州、中国をカバーする3部構成となっており、どのOEMがOTA分野で最も積極的な取り組みを進め、最高のOTA機能を提供しているかを評価しています。今回のインサイト記事では、レポート内に掲載するOEMのOTA能力ランキングについて深く掘り下げます。レポートの各バージョンには、対象の地域でどのOEMがこの分野をリードし、どのOEMが遅れをとっているかを特定する独自のランキングリストを掲載しています。下記に、米国と欧州のランキングをご紹介します。
最高のOTA機能を提供しているOEMとは?
北米のランキングを見てみると、同地域で評価された 38 社の OEM のうち、Ford が最高位であることがわかります。Ford は、15という高得点によってこの地位を獲得しただけでなく、SBD Automotiveが定義するSDVのVehicle 4.0レベル(真のソフトウェアディファインドビークル を表す)に最も近い Vehicle 3.0 の基準に適合するOTAソリューションを提供している唯一の自動車メーカーです。FordのOTA能力が最も顕著に見られるのはMustang Mach-Eで、北米市場における他の多くのOTA搭載車よりも広範な特徴と機能を提供しています。
Fordの下にランクインしているのは、同じく15点を獲得したTeslaとRivianですが、両社はより頻繁に、より多くのコンテンツでモデルをアップデートしています。しかしながら、Fordの「走行中に車両を更新する」という能力は、北米の道路で他のOEMが採用しているのをいまだ見たことがない、斬新なユースケースです。同時に、Fordのアップデートのペースも、TeslaやRivianに追い付きつつあります。
この機能は、Fordが独自の「A/B」アプローチによるパーティショニングを車両エレクトロニクスに装備することで可能になっています。ここでは、ソフトウェアのアップデートがサイレントインストールされ、車両の機能を中断することなく、新しくアップデートされたパーティションに「切り替える」ことができます。最新モデルにこの技術を組み込むことで、FordはSDVの長期的なビジョンを実現し、加速させる技術的基盤を築く重要な一歩を踏み出しました。この技術はさらに、Fordが開発ツール、組織変更、車両アーキテクチャーにこれまで行ってきたさまざまな大規模投資の成果を示すものであり、これによって同社は、EVの競合他社の俊敏性に匹敵する、あるいはそれを凌駕する可能性もあります。
次のステップ
本記事を通して示されているとおり、すでに世界中の自動車メーカーがOTAの恩恵と機会を享受しています。OTA技術は、ますます多くの主要コンポーネントや機能ドメインに影響を及ぼすようになるため、OTA戦略を拡大し、競合他社に対して優位に立つことを目指すOEMにとっては、OTA技術の最新動向に精通していることが不可欠です。SBD Automotiveのレポート「OTA & ソフトウェアアップデートガイド」では、OTA技術の動向を継続的に調査し、四半期ごとに最新情報を提供します。
本書は、OTAアップデートに関する業界の最新動向を追跡しており、競合他社に対する自社のOTA戦略の評価を支援します。また、現在配信されているアップデートの種類と、それを可能にするために必要な主要技術をマッピングしています。2024年版の本書に新たに追加された「OEM各社のOTA能力ランキング」では、欧米中3つの主要地域で上位にランクインしたOEMがOTA戦略をどのように実現しているか、また下位にランクインしたOEMがシステムをどのように強化できるかについて、洞察を提供しています。
「OTA & ソフトウェアアップデートガイド」の詳細については、下記からご覧いただけます。
OTAやソフトウェアアップデートなどの最新動向にご関心をお持ちの方は、ぜひSBDの無料情報配信サービスにご登録ください。