3月5日と6日の両日、ベルリンのエストレル・コングレス・センター(ECC)で開催されたAutomotive Masterminds 2024は、「イノベーションの推進:ソフトウェア、電動化、コラボレーションによる自動車産業の加速」をテーマに開催され、様々なパネルディスカッション、プレゼンテーション、ワークショップが行われました。本記事では、このイベントで最も興味深かったパネルディスカッションの1つについて深く掘り下げ、その重要な要点について解説します。
同イベントでは、SBD Germany のマネージングディレクターであるAndrea Sroczynski がモデレーターを務め、Ionity の DACH カントリーマネージャーであるChristoph Strecker氏、Siemens Smart Infrastructureの eMobility CEO であるMarkus Mildner氏、E.ON DriveのDACH責任者であるChristoph Ebert氏、Farasis Energy Europeの海外製品開発責任者であるAndré Gronke 氏など、欧州の主要な EV 充電、テクノロジー、エネルギー・プロバイダーの代表者によるパネルディスカッション「The future of electric vehicle charging - Fast charging and inductive technologies revolutionizing e-mobility(電気自動車充電の未来-e-モビリティに革命をもたらす急速充電と誘導技術)」が行われました。
急速充電の加速
パネルディスカッションの冒頭では、ハイウェイでの充電中にどれくらいの時間待つことができるかを聴衆に問う投票が行われ、回答者の47%が15分待つことができると答えました。これをきっかけに、充電インフラの成長と、急速充電が消費者に与えるさまざまな影響について議論が交わされました。例えば、Christoph Strecker氏は、EVの普及および充電インフラの成長は市場によって異なることを強調しました。同氏は、EVの急速な普及を見込んでインフラを急速に整備したドイツと、急速なEVの普及によって充電インフラが容量いっぱいに稼働し、ピーク時には非常に混雑するようになったノルウェーとを比較しました。
André Gronke氏は、急速充電がEVのバッテリーにもたらす潜在的なリスクについてさらに掘り下げ、OEMは急速充電によるバッテリーの温度上昇を抑えるため、その冷却を優先しなければならないと指摘しました。これにより、より効率的な急速充電が可能になり、バッテリーの完全性が損なわれることがなくなります。さらに同氏は、バッテリーの寿命を維持・延長するための効果的な手段として、低充電状態(SoC)に焦点を当てた適切なエネルギー管理の重要性を強調しました。
ワイヤレス充電の現状と今後の展望
モデレーターを務めたSBD GermanyのAndreaがパネルに、どのような新しい充電イノベーションに最も関心があるかを尋ねたところ、インダクティブ充電が重要なトピックとして浮上しました。Markus Mildner氏は、インダクティブ充電は実現可能であるだけでなく、すでに実施されており(さまざまな地域での一連のパイロットプロジェクトを通じて実証されている)、それが拡大すれば成功する可能性があると指摘しました。同氏はさらに、これによりEVをプラグインする必要性がなくなり、よりシームレスな体験として消費者に快適さを提供できること、そしてEVフリートオペレーターの効率化を促進できることを強調しました。同氏およびと Christoph Ebert氏はともに、多くの自動車ブランドとシームレスに統合できる単一のインダクティブ充電ソリューションを開発することで、新たな協力関係を促進しながら、EVの普及をさらに促進できるとしました。
Andreaは、ワイヤレス充電が公共と民間のどちらのユースケースで一般的になるかを問う投票を聴衆に求めました。聴衆の50%は両方で普及すると回答した一方で、19%はどちらにも普及しないと答えました。この結果を受け、Christoph Strecker氏は、商用車では高出力のインダクティブ充電の方が実現可能性が高いとし、André Gronke氏は、顧客がそれに関連するコストを負担してくれるのであれば、公共および民間の充電で普及する可能性があるとの考えを示しました。Markus氏もこの意見に同意し、多くのプレーヤーがインダクティブ充電を使用して今日の充電ユースケース(夜間家庭充電など)を向上させることが可能だと指摘しました。
パネルディスカッションのフルバージョンは下記からご覧いただけます。
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