自動車業界においては未来の自動車を実現するための競争が激化しており、車両に搭載される技術の数も、ユーザーエクスペリエンス（UX）に対するそれらの技術の重要性も増しています。しかし、これらの技術の成功は、UXをシームレスで満足のいく方法で提供できるかどうかにかかっています。それにより、OEM、開発者、サプライヤーは、製品のローンチを成功させるとともに、車両とそのデジタルサービスのエコシステムに対する長期的な顧客ロイヤリティを醸成させることが可能となります。
SBD Automotiveが発行する車載HMI UXベンチマーク評価レポートシリーズでは、HMI機能が車載ユーザーエクスペリエンスにどのような影響を及ぼすかをプラスとマイナスの両面から調査しています。SBDのベストセラーかつロングランレポートの1つである本レポートでは、グローバルに提供されている最新のHMIシステムを包括的に評価・分析しています。2024年度版では、これまでにSBDのUX専門チームが9車種のシステムをテストおよびベンチマークし、同分野におけるシステムの特徴や傾向を明らかにしています。
本インサイトでは、2024年度版車載HMI UXベンチマーク評価レポートシリーズについて詳しくご紹介します。各レポートの概要に加え、Cadillac Escalade IQやNIO ET9など、新たに評価を予定している車種を含む2025年度版レポートシリーズについてもご説明します。
2024年度のテスト車両ラインナップ
2024 BMW X1
本書では、「2024 BMW X1」の評価を行いました。同車両のConnectedDrive Storeは、家電分野やモバイルデバイスのアプリストアでなじみのあるユーザーエクスペリエンスが評価され一方、これまでのBMWのモデルにはなかった幾つかの予期せぬ問題点も見つかりました。
2024 Mercedes-Benz E-Class
新型 E-Classのテストと分析において、SBDのUX専門チームは、幅広い領域で提供される様々な付加価値機能を評価する一方で、これらの機能の一部に実装された複雑で過剰なコントロールが、全体的なユーザビリティを妨げる要因となっている点を指摘しています。
Xiaomi SU7
Xiaomi Xiaomi SU7は、音楽再生オプションやエンターテイメント/情報提供機能が高く評価され、最終的に高スコアを得ています。
2024 Lincoln Nautilus
2024年型NautilusはLincoln Digital Experiencenの利便性や、より安全でシームレスなインタラクションを実現できる可能性が高く評価されました。しかし、システム内で発見された広範な安定性の問題が解決されない場合、UXに悪影響を及ぼしかねないとしています。
2024 KONA Electric
SBDのUX専門チームは、新型Kona Electricの付加価値機能、特にEV所有体験の中心となる機能が提供する有用性と利便性を高く評価しました。しかしながら、これらの機能の統合は十分と言えず、そのユーザビリティは一貫性を欠き、ユーザーの混乱を招く、あるいは場合によって困難を感じさせる可能性があります。
2024 Acura ZDX
本書では、Google ビルトインを採用したアキュラ初のEVであるAcura ADSの評価を行いました。Googleビルトインを採用している他のモデルと同様の長所と短所が見受けられることが明らかになったほか、他のHMI領域における長所や、AM/FMラジオの実装に致命的な短所があることが指摘されました。
Avatr 12
Avatr Technologiesの最新EVは、HuaweiのHarmonyOSの車載バージョンを搭載し、様々なエンターテイメント機能やIoT統合を提供している点が評価された一方で、サードパーティによるサポートがないため、一部のユーザーにとってはユーザビリティが低下する可能性が指摘されています。
Audi Q6 e-tron
同EVの内装および外装のライティングシステムは、安全性やパーソナライゼーションなどの領域におけるユーザビリティを向上させるものであると評価した一方で、ナビゲーションにおいては実装が不十分な要素が見られ、一部のユーザーはApple CarPlayやAndroid Autoを選ぶ可能性があると指摘しています。
Mini Electric Countryman
同モデルに搭載されたOLEDセンターディスプレイは特に印象的であった一方で、そのHMIシステムの安定性は極めて低いと指摘されました。同モデルのシステムでは11のバグが見つかり、そのうち4つは致命的とみられ、その中には完全なシステムクラッシュも含まれています。
今年度評価車種の総括
本書は2024年度「UXベンチマーク評価」レポートシリーズを総括するものです。いくつかの主要な領域におけるHMIの共通点とパフォーマンスを評価するとともに、車種ごとの概要、分析結果、重要ポイントなどをまとめています。
好評をいただいた「2024年UXベンチマーク評価シリーズ」レポートの全巻発行を終え、現在SBD Automotiveでは2025年版の作成に着手しています。本年度は9車種を対象に、各車両の評価レポートを作成した後、それぞれの比較分析やベストプラクティスに焦点を当てた洞察をサマリーレポートとして提供します。
2025年版UXベンチマーク評価シリーズは、「ユーザーエクスペリエンス・ドメインパス」のご契約を通じて提供いたします。今年度は下記を含む特定分野のドメインパスの提供を予定しております。
ADAS & 自動運転
コックピット＆インフォテインメント
デジタルコネクテッドサービス
電動化
イノベーションと戦略
セキュリティ
ソフトウェアディファインドビークル（SDV）
ユーザーエクスペリエンス（UX）
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