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CES 2025メディアデー

Brandon Miller

今回のインサイトはSBD Automotiveが提供する#CESデイリー・ラップアップの第一弾です。SBDでは今回のインサイトに加え、CESの初日と2日目の自動車・モビリティ関連のトピックから、視察チームが注目したものについて、最新情報をお伝えする予定です。


多くの参加者が1月6日の夜から7日の朝にかけてラスベガスに到着する中、SBDの視察チームはCESメディアデーを取材するため、1月5日早朝(現地時間)にラスベガスに到着していました。 Jeffrey HannahAndrew Wilcsyznskiは同日夜、CES Unveiledに出席し、 SteerLightOkular LogisticsVox AISSQ-Motors FranceAutoVRそして Struttが特に視察チームの注目を集めました。


1月6日、スポットライトはMandalay Bayホテルに移り、ハイテク企業の幹部らがメディアに向けたプレスブリーフィングを行ないます。


トヨタ、Woven Cityについて語るも自動車については何も語らず

CES 2024では、 HyundaiKiaが、水素、ソフトウェアディファインドビークル、そして 「Purpose-Built Vehicles(特定用途向け車両)」によるモビリティの未来について幅広い発表を行い、ショーを席巻しました。今年は トヨタZeekrがメディアのスポットライトを浴びる番となりました。


トヨタ自動車の豊田章男会長は15分間の記者会見で、2024年10月31日に富士山近郊に建設していたWoven Cityの「Phase 1」を完成させたことを発表しました。同社は2021年2月に同地で着工していました。


Woven CityのPhase 1完成についての発表の様子(画像:SBD Automotive/Andrew Wilczynski)
Woven CityのPhase 1完成についての発表の様子(画像:SBD Automotive/Andrew Wilczynski)

豊田氏は、同キャンパスの人口目標を2,000人の "Weavers"(居住者)と発表し、その第一弾は2025年後半に入居を開始する予定だとしました。住民には、トヨタ従業員、小売店舗、起業家、客員科学者や、協力的なイノベーターなどが含まれ、組立工場を大規模な研究開発スペースに改造し活用することなどが計画されています。このコンセプトは、 ミシガンセントラルチームがデトロイト駅や、Ford Motor Company、Newlabで行った取り組みの、より住宅中心のバージョンのようにも感じられます。


特筆すべきは、豊田氏が 同社の自動車事業について、車載ソフトウェアと自動運転に関するWoven by Toyotaの取り組みについて少し触れたことを除き、ほとんど時間を割かなかったことです。その代わりに、トヨタが5億ドル以上を投資しているeVTOL企業Joby Aviationの取り組みにスポットライトを当てました。


豊田氏はまた、トヨタがロケット開発を模索していることを発表し(日本の宇宙飛行会社であるInterstellar Rocketsの画像を背景に)、Tesla、SpaceX、Elon Musk氏に向けて明らかに頷きながら、モビリティ戦略の一環として宇宙へ行く「自動車会社」が1社だけでなく複数になることを示唆しました。


SBDの見解: トヨタが自動車以外の分野に注力していることは、多くの自動車メーカーが直面している重大な課題を浮き彫りにしています。自動車業界は、サプライチェーンからのコスト上昇圧力に直面する一方、消費者や中国との競争によるコスト低下圧力と戦っており、現状では価値創造やイノベーションの余地は限られています。SBDでは、世界中の自動車メーカーが、自動車以外のモビリティ形態への投資を拡大する傾向が続くとみています。


Zeekr、2019年のBYTON以来最大級の中国OEMの存在感を示す

Waymo向けのZeekrのパーパスビルトビークル(画像:SBD Automotive/Andrew Wilczynski)
Waymo向けのZeekrのパーパスビルトビークル(画像:SBD Automotive/Andrew Wilczynski)

同日、規模の小さなボールルームで、VolvoとLYNK & COも所有するGeely の子会社である中国のEVブランドZeekrは、2025年からAlphabet傘下のWaymoに初の専用電気自動車を供給すると発表しました。これは2021年に発表された契約に続くもので、TechCrunchは、これらの車両が2024年の早い時期にすでにサンフランシスコで目撃されていると報じています。これは、Hyundai IONIQ 5 EVの同様の注文に続くもので、納車は同じく2025年に開始されるということです。


Zeekrの技術パートナー(画像:SBD Automotive/Mike Levet)
Zeekrの技術パートナー(画像:SBD Automotive/Mike Levet)

またZeekrはこの機会に、AIコックピット、ソフトウェアディファインドビークル の取り組み、デジタル体験機能、エコシステムパートナーシップに関する様々な情報を共有しました。SBDではBMWやホンダからも同様の内容が発表されると見ています。

ショーフロアでは、ZeekrがパフォーマンスEV(001 FR)、高級ミニバンEV(009 Grand)、ファミリーバンEV(Mix)を展示する予定で、これらはWaymoプラットフォームのベースにもなっているようです。これらのモデルはZeekrが以前に発表しているものです。


興味深い点: Zeekrは、2019年のBYTON(現在は消滅)以来、CESでこれほど大きな存在感を示した初めての中国自動車メーカーだと言えるでしょう。


ソニー、予約金200ドルでAFEELAの予約受付を開始、価格は89,900ドルから

AFEELAのプレオーダー用QRコード(画像SBD Automotive/Mike Levet)
AFEELAのプレオーダー用QRコード(画像SBD Automotive/Mike Levet)

この日最後の記者会見で、ソニーは長年プロトタイプを開発してきたセダン「AFEELA 1 Origin」(89,900ドル)と「AFEELA 1 Signature」(102,900ドル)の価格を発表しました。カリフォルニア州を皮切りに販売開始し、その後他の州でも販売される予定です。販売価格には、L2+ADAS 、車載ストリーミングエンターテインメント、カスタマイズ可能なテーマ、AFEELAパーソナルエージェントを含む3年間のサブスクリプション料金が含まれます。Sony Honda Mobilityは、カリフォルニア州で2026年半ばの納車開始を見込んでいます。


SBDの見解: 同車両はLucid Airと非常に似てていますが、ホンダの製造拠点の規模と信頼性、ソニーのエンターテインメントに関する専門知識が組み合わさることで、明確な優位性がもたらされるでしょう。とはいえ、AFEELAは競争の激しいハイエンドEV市場に参入するため、初期の生産台数はおそらく少ないと予想されます。これはおそらく、ソニーとホンダに、より多様な市場においてより低価格でより多くの台数を展開する余地を与えるための意図的なものと考えられます。


CEサプライヤーが自動車とスマートホームにAIを導入

トヨタとZeekrの記者会見に加え、家電サプライヤーも多くの発表を行いました。

Boschの逆走警告アナウンス(画像:SBD Automotive/Andrew Wilczynski)
Boschの逆走警告アナウンス(画像:SBD Automotive/Andrew Wilczynski)

Boschは世界で最も実績のあるコネクテッドカー企業のひとつであるSiriusXM Connectと提携し、逆走警告システムを発表しました。

NHTSAによると逆走による事故は最も致命的であり、致死率は80%近くに達し、その事故率は増加の一途をたどっています。

政府は、特に日本、中国、米国のような高齢化が進む国々において、問題の規模と危険性を考慮し、今後数年間でこの種の警告を義務化することを検討する可能性があります。Boschはまた、事業全体で5,000人以上の従業員がAIに取り組んでいると発表しました。

LGのモビリティコンセプト(画像:SBD Automotive/Andrew Wilczynski)
LGのモビリティコンセプト(画像:SBD Automotive/Andrew Wilczynski)

LG Electronicsは、MicrosoftのCopilotサービスを活用した車載AIコンセプト「Affectionate Intelligence」(LGのAI)のデモンストレーションを行いました。車載音声対話は依然として生成AIの最も重要なユースケースですが、シームレスなオンエッジユーザーエクスペリエンスに必要なパフォーマンスレベルには、より高性能なオンデバイスニューラルプロセッシングが求められます。リードタイムの長さやNPUを搭載した電子機器の高コストにより、この種の体験がメーカーのシリコンを通じてマスマーケットに普及するまでには、まだ数年を要する見込みですこの点が、AppleやGoogleのようなスマートフォンおよびソフトウェア企業が音声AI分野で圧倒的な優位性を持つ理由であり、自動車メーカーがCarPlayやAndroid Autoと複雑な愛憎関係を抱える一因とも言えるでしょう。


Samsungは子会社であるHarmanと共同で車載AIアバターやReady CareおよびReady Visionテクノロジースイートのアップデートを展示しました。基調講演の大半では、公共料金や太陽光発電量に基づいてEVの充電スケジュールを管理する機能など、ホームAIソリューションにスポットライトを当てていました。同社はこれまで、自動車関連の話題のほとんどを2017年に買収したHarmanに委ねてきました。Harmanはこれまでも自動車関連の展示を行っており、今年はLVCC Central Hallに設置されたSamsungブースの一部として再び登場しました。


キーワードは「信頼」
Boschが掲げるテクノロジーへの信頼の原則(画像:SBD Automotive /Andrew Wilczynski)
Boschが掲げるテクノロジーへの信頼の原則(画像:SBD Automotive /Andrew Wilczynski)

CES開幕を前に、ソフトウェアディファインドビークルのパートナーシップ拡大、エッジデバイスへのAI機能の組み込み、車載センシング、拡張現実(AR)、持続可能性や電動化といったテーマが既に注目を集めています。しかし、今日のメッセージの中で最も印象に残ったのは、Boschが「安全、安心、堅牢、説明可能」というパラダイムを通じて 新技術への信頼構築を強調していた点です。CESで展示されたコンセプトを見て、その技術がもたらす潜在的なユースケースに期待を抱くことは容易ですが、これらの技術をシームレスで信頼性が高く、安全でセキュアなユーザー体験を提供する方法で実装することは、特に生成AIのような新興技術において非常に難しい課題と言えるでしょう。


今後1週間にわたり、SBDが「4Sモビリティ」と呼ぶ、安全、安心、持続可能、シームレスを意味する4つの「S」を通じて、この信頼構築に向けて革新的なテクノロジーを責任を持って導入する企業を紹介する予定です。

Teslaに「ウインク」する豊田氏(画像:SBD Automotive/Mo Al-Bodour)
Teslaに「ウインク」する豊田氏(画像:SBD Automotive/Mo Al-Bodour)

ラスベガスコンベンションセンターでの時間を最大限に活用するために、CES 2025ツアーマップをご活用ください。

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