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Brandon Miller

ソフトウェアディファインドビークルが与える従来の開発手法への影響

自動車業界ではソフトウェアディファインドビークル実現に向けた取り組みが進められており、革新的な技術、サービス、ビジネスモデルを展開するOEMの数は増加しています。

 

Teslaは、OTAアップデートを普及させることでこの革新の火付け役となりましたが、現在では多くの主流自動車メーカーが影響を受け、OTAは中核機能として高級車と大衆車の両方で提供されています。今日、一部の高級OEMや新規参入企業は、ファームウェアの無線アップデート(FOTA)やFaaS(Features-As-A-Service)を最新モデルに組み込むことで、OTAの範囲を拡大しています。この例は、ソフトウェアディファインドビークルに先駆けて急速に進化することが予想される多くのハードウェアとソフトウェアのユースケースの1つであり、OEMが独自のSDVを開発する際には、進化するSDVの状況を包括的に理解する必要があることを浮き彫りにしています。

 

本記事では、2024 年にSBD Automotiveがリリースした SDVに関するレポートの詳細および、今年後半に発売予定のレポートの概要についてご紹介します。また、SBD Automotive Japan のSDVシニアエキスパートによる大塚真大による各レポートの主な特徴や利点についてのコメントも掲載しています。


ソフトウェアディファインドビークル:E/Eアーキテクチャガイド(レポート番号:401)

今日、レガシーOEM、新規参入企業、さらにはグローバルなテックジャイアントが、ハードウェアとソフトウェアの責任を、一部の車両機能のサポートから、完全な車両体験の提供へとシフトさせる車両を開発しています。E/Eアーキテクチャは、こうした新しい車両で極めて重要な役割を果たすと同時に、現在すでに多くのモデルで重要なコンポーネントとなっています。そのため、独自のSDVを開発しようとするOEMは、SDVに対する全体的なアプローチを慎重に計画およびマッピングし、SDVをさらに導入する準備を十分に整える必要があります。これにより、新たな収入源を確保できるだけでなく、より安全でセキュア、かつシステムの利便性が向上したコスト効率の高い車両を開発することが可能となります。

 

ソフトウェアディファインドビークル:EEアーキテクチャガイド

本書は、今日のE/E アーキテクチャの進歩を紹介し、SDVの実現に向けた道筋を明確化することを目的としています。2024年に新たに作成された本書は、最適なユーティリティとコストで継続的な向上と追加を可能にする意思決定方法について洞察を提供するとともに、最新のE/Eトレンドとテクノロジーを紹介します。

また本書では、30社以上の自動車メーカーによる最新の戦略や導入事例を詳細に詳述し、モデル別アーキテクチャ、Vehicle 3.0アーキタイプ、機能ドメイン、集中コンピューティングなどの分析を提供します。E/Eの最新動向を反映するため毎年更新されるこのガイドのExcel版では、さらに包括的な洞察を提供し、リリースごとに数千のデータポイントから最新のデータを活用することで、適切な意思決定をサポートします。

 

SDVシニアエキスパートである大塚真大は本書の筆頭著者の一人であり、SDVとの関連性について次のようにコメントしています。「一部のOEMでは、機能指向アーキテクチャがもたらす課題に対処するために、今後数年間でゾーンアーキテクチャを実装する計画を発表しています。これは、E/Eアーキテクチャの進化がSDVの全体的な進化において重要な要素であることを示しています。本書は、E/E アーキテクチャの世界的な動向を常に把握する必要があるOEMやサプライヤのすべてのSDV関係者を対象としています。」


ソフトウェアディファインドビークル将来予測(レポート番号:402)

業界がSDVに向けて加速する中、レガシーOEMは、消費者のデジタルライフを補完する現代的でハイテクなユーザーエクスペリエンスを提供するために、ハードウェアとソフトウェアの機能を強化しています。一方、新規参入企業やスタートアップは、ゼロから開発した革新的な技術や機能、サービスを発表しています。しかし、こうした機能の市場は、最終的には車両のE/Eアーキテクチャとそのエコシステムから採用されるプラットフォームとの相関関係に依存しています。そのため、SDVの開発を検討している OEM、ブランド、スタートアップは、この相関関係を認識し、ダイナミックな進化を可能にする強固な戦略を策定する必要があります。

 

ソフトウェアディファインドビークル将来予測 

本書では、さまざまな地域やセグメントにおけるSDVの新技術の実現に寄与する要因を評価します。今後10年間の予測を通じて、主要なOEMグループが将来のE/Eアーキテクチャ要素をどのように展開すると予想されるかを概説し、これらの要素がどのように進化していくかを包括的に分析します。

また、OEMの戦略がSDVの導入に与える影響を検証し、導入率やSDVのトレンドが地域によってどのように異なるかを評価します。本書には、ブランド別、国別、収益別に分類された詳細なデータを、独自に分析することが可能なExcelが付属しています。

 

本書に関し、弊社大塚は次のように述べています。「業界はより高度なSDVの実現を目指しているが、取り組むべき課題が未だに多くあります。これらの課題には、低コストのコンポーネントの開発/調達、レベル3.0以上の車両向けのアーキテクチャの拡張性を高めるより柔軟なソフトウェアスタックの使用などが含まれます。本書は、OEMがSDVポートフォリオに関して十分な情報を得た上で戦略的な意思決定を行えるよう支援することを目的としています。」


ソフトウェアディファインドビークルにおけるソフトウェア開発(レポート番号:406)

ソフトウェア開発は、SDVの成功の中核をなすものであり、すでに自動車業界全体にわたって、車両開発からE/Eプラットフォームの進化、さらには自動車メーカー、実現技術、サプライヤーエコシステム間の役割と責任の変化に至るまで、様々なタッチポイントに変革的な影響を及ぼしています。自動車向けソフトウェアおよびソフトウェア開発手法が進歩を続ける中、OEM、サプライヤー、自動車ソフトウェア開発者は、ソフトウェアディファインドビークル実現への取り組みにおいて、これらの手法をどのように、そしてどこで高めることができるかを把握することが極めて重要です。

 

2024年後半に発行を予定する本書では、自動車OEMとその周辺のエコシステムが、SDVにおいて最も重要なソフトウェア開発の課題に具体的にどのように取り組んでいるかを戦略の観点から考察します。

現在使用されているツールセットの能力と、自動車のバリューチェーンに影響を与える自動車以外のソフトウェア開発のトレンドに焦点を当てながら、組織戦略と技術戦略により自動車のソフトウェア開発を相乗的に最適化する方法を明らかにします。SDVソフトウェア開発のビジネス面からの深堀分析では、ソフトウェア開発のインソーシングとアウトソーシングの傾向を比較し、SDV開発を加速するためにOEMとサプライヤーがどのような役割を担い戦略を実施しているかを評価します。さらに、自動車メーカーとそのパートナーがクラウド、デジタルツイン、DevOpsツールキットをどのように活用して SDVソフトウェア開発をさらに加速させ、成功を確実なものにしようとしているのかについて考察します。

 

本書について、大塚は次のようにコメントしています。「本書の目的は、ソフトウェア開発チームおよびそのリーダーが、急速に進化するソフトウェア開発のトレンドに関する情報を把握し、市場で利用可能な新たなツールを効果的に実装する方法について理解を深めるのを支援することです。SDV の進化には、新しく多様な開発ツールへの適応性を維持しながら、最新のアジャイルソフトウェア開発手法を用いる必要があります。」


次のステップ

多くの自動車メーカーがSDVの実現に向けた取り組みを加速させており、市場にはSDVを実現する技術の投入が増加しています。そうした中、SDVが従来の自動車業界に与える影響を認識し、長期にわたる真のイノベーションを可能にする強固な戦略を策定することが不可欠となっています。SBDが発行するソフトウェアディファインドビークルレポートシリーズでは、開発の初期段階から将来的な普及を可能にするベストプラクティスまで、SDVライフサイクルの主要な側面に焦点を当てています。同レポートシリーズは、SDV戦略の推進および強化を支援し、将来を見据えた包括的な知識を提供します。


SDVに関する最新レポートの情報をご希望の方は、SBD Automotive ジャパン(Postbox@sbdautomotive.com)までご連絡ください。また、下記より地域を選択し、該当する地域を担当するSBDアカウントマネージャーとの打ち合わせをご予約いただくことも可能です。




 

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