2024年も終わりに近づき、今年を形作った主要な動きや、トレンド、テクノロジーについて振り返る時期となりました。自動車におけるAIのユースケースの増加から、EVのライフサイクルを拡張・拡大するための新サービスや新機能の登場、さらには専用コンパニオンアプリを通じた家電機器の自動車ライフサイクルへのより広範な統合に至るまで、様々な進展が見られました。
今年に入り急速に進展しているこれらのトレンドは、2025年にはさらに拡散し、世界中の消費者、自動車メーカー、サプライヤー、政府により多くの影響を与えることになると見られます。そのため、これらのトレンドが現時点で業界にどのような破壊をもたらしているのか、そして将来的にどのような影響を与え続けるのかを理解することが、自動車メーカー、サプライヤー、新興企業が、進化を続ける中で競争力を確保し、収益性を最大化するために極めて重要です。
本記事では、これらのトレンドに関連するSBDレポート「自動車業界におけるAI」、「EV向けアプリおよびデジタルユーザーエクスペリエンス」、「UX実現技術調査シリーズ: スマホ連携機能（コンパニオンアプリ）」について、各レポートの概要をご紹介します。
UX実現技術調査シリーズ: スマホ連携機能（コンパニオンアプリ）
多くの新車、特に2024年発売の新車に共通するトレンドは、革新的な技術やコネクティビティ機能が標準装備として充実している点です。これらの機能は、ユーザーエクスペリエンスの向上を目的に設計され、車内外での利便性を拡張しています。こうしたシステムの導入と展開は、顧客満足度の向上だけでなく、顧客ロイヤルティの強化にも大きく貢献します。
近年、多くのOEMが車両コンパニオンアプリを活用し、消費者のデジタルライフにブランド固有のユーザー体験をより深く統合することで、こうした目標の達成を支援しています。最新のスマートフォンやスマートウォッチで利用できるこれらのアプリは、車両ユーザーエクスペリエンスの領域を拡大し、主要な車両機能のリモートコントロールを可能にするだけでなく、新たな体験を促進するものもあります。これらのアプリは、自動車メーカーに新規顧客やリピーターのブランドロイヤルティを強化する機会を与えているため、このようなアプリを開発または活用するOEMは、信頼を築く上で不可欠な質の高いユーザーエクスペリエンスを確実に提供する必要があります。
本書は「UX実現技術調査シリーズ: ハンズオフドライブとの2部構成となっており、SBDのユーザビリティ専門チームが、 2024年 車両評価レポートシリーズの対象車両で提供されるコンパニオンアプリのUXをさらに深堀り分析しています。これらのアプリについて、スマートフォンで提供されるUXに焦点を当て解説するとともに、コネクテッドカーの機能との相互作用を検証し、現代のコンパニオンアプリの実装、差別化、主要なUSPについて、最新のハンズオフドライビングシステムの真価と共に、より広範な洞察を提供します。
自動車業界におけるAI
2024年、生成AIは家電、広告、その他多くのデジタル業界に大きく進出すると同時に、自動車業界にも確固たる地位を築き始めました。自動車業界における主な活用例としては、製品開発、画像分類、経路計画、車内パーソナライゼーションなどがあり、将来的にはアプリケーションの枠を超えて機能レベルにまで応用が拡大する可能性があります。自動車内での生成AIの可能性が急速に進展する中、OEM、サプライヤー、スタートアップ各社は、自動車におけるAIの最も効果的かつ有益な活用事例を深く理解するとともに、この技術がバリューチェーン全体に与える影響と、その過程で直面する課題についても十分に把握する必要があります。
本書「自動車業界におけるAI」は、自動車分野における生成AIのユースケースに関する洞察を提供するとともに、これが業界にどのような影響を与えるかを検証するものです。本書では、今後5年間に影響を受けるであろう機能アプリケーションレベルを把握し、上流アプリケーションおよび機能の垂直分野におけるケーススタディを紹介します。また、生成AIの短期、中期、長期での自動車向けユースケースについて解説し、潜在的なパートナーや、現在のプレーヤーがこの技術に対して取っているさまざまなアプローチを特定します。
EV向けアプリおよびデジタルユーザーエクスペリエンス（仮題）
EVの普及は、新たなインセンティブの導入や、より多くのセグメント向けに手頃な価格帯で展開される新モデルの発売を通じて、2024年も引き続き拡大しました。こうしたモデルや、より広範なEV市場全体の中核には、EVの利用体験をサポートするためのアプリやサービスのエコシステムが急速に発展していることがあります。
ここでは、スマートフォンアプリ、オーナーポータル、車載システムを組み合わせたマルチチャネルコミュニケーションアプローチが採用されており、バッテリーの状態、充電器の空き状況、デジタル決済、EVの付加価値サービスといった情報をオーナーに一括して提供しています。このアプローチは、EVが本質的な体験を提供し、差別化要因（USP）を強調し、さらなるイノベーションを促進するために欠かせないものとなっています。そのため、新しいEVを開発または提供するOEMにとっては、EVに焦点を当てたデジタルアプリやサービスの豊富なエコシステムを構築すると同時に、最終的な消費者体験をサポートし、最大化する全体的な消費者ジャーニーと調和させることが重要です。
本書「EV向けアプリおよびデジタルユーザーエクスペリエンス（仮題）」では、自動車メーカーがどのようにEVアプリやデジタルCXを提供しているかについて、5つの主要なステップごとに詳細に解説します。EVの普及を促進するためにデジタルツールやサービスをどのように活用できるかについての洞察を提供するとともに、EVユーザージャーニーの主要コンポーネントをデジタル化するためのベストプラクティスを特定し、リモートおよび車内での車両体験をどのように連携させ、車両オーナーへの情報提供や、EV関連の新しいデジタル体験に関するサポートをを行なうことができるかを検証します。
次のステップ
本記事で紹介した各レポートは、2024年に急成長を遂げ、今後数年でさらなる加速が期待されるトレンドに焦点を当てています。これらのトレンドは、それぞれ自動車の未来を形作る重要な領域で進化しており、レポートでは、電動化やコネクティビティ戦略の強化と推進に向けた貴重な指針を提供します。
上述のトレンドやトピックに関しては、SBD Automotiveが発行するレポート「自動車業界におけるAI」、「EV向けアプリおよびデジタルユーザーエクスペリエンス」、「UX実現技術調査シリーズ: スマホ連携機能（コンパニオンアプリ）」で詳細に解説しています。