最近のブログ記事で、Ford CEO、Jim Farley氏は、次世代のEVオーナーが最終的に求めているのは、利便性、安心感、専門家のサービスという3点だと感じていると述べています。
同氏は、FordのEVのカスタマーエクスペリエンス全体にわたってこれらの品質を確保するための取り組み(最近では、独自のBlueOval Charge Networkを通じて、EVをTeslaのスーパーチャージャーネットワークに統合)を強調する一方で、EVの普及に関連する障壁、特にEVの充電エクスペリエンスに対する壁を軽減する必要性も強調しました。また同氏は、こうした障壁を取り除き、消極的な消費者がEVの顧客となるよう促進することを目的とし、Ford Power Promiseを発表しました。これは、EVの所有体験全体にインセンティブを与え、向上させることを目的とした一連のプロモーションとプログラムです。
Ford Power Promiseは4つの柱を中心に展開され、その中でも最も注目すべきは「Home is Where the Charge is」と呼ばれるものです。この取り組みを通じFordは、Mustang Mach-E、F-150 Lightning、E-Transitバンの小売車を購入またはリースする新規顧客に、家庭用充電システムCharge Station Proを無料で提供します。Charge Station Proは、販売店での受け渡し、あるいは顧客の住所への配送が選択でき、いずれの場合も、Fordから顧客の自宅に専門家が派遣され、追加料金なしでシステムを設置します。Charge Station Pro自体の価格は通常1,310ドル(約999ポンド/1,186ユーロ)で、双方向充電機能を備えており、EVのバッテリーから外部電化製品や停電時の家庭への給電が可能です。新規購入者やアパート等の賃貸住宅に居住する場合、あるいはソリューションが設置できない家庭には、「Power Promise」から2,000ドル(1526ポンド/1180ユーロ)相当のクレジットが提供されます。
同氏はブログの中で、Power Promiseの中のこの要素について、顧客の家庭での充電費用に関する混乱を含め、設置に関連する不安要素を取り除くことを目的としており、ユーザーに余分な時間や費用をかけさせない点を強調しました。また「Home is Where the Charge is」は、Ford Proのフリート顧客にも適用されます。フリート顧客へは、対象車両を購入する際、商用充電キャッシュインセンティブが提供されます。
Power Promiseの2つ目の柱である「On-the-Road Charging」は、Fordの公共充電ネットワーク「BlueOval Charge Network」の利便性を強調しています。同社のConnected Navigationシステムを活用して、複数のサードパーティネットワークにまたがる充電器を検索し、ユーザーが選択したルートに沿って充電スポットを追加します。この充電器ロケーション機能は、CarPlay経由のApple EV Routingや、充電料金の支払いに使用できるFordPass Appを通じて実行することができ、今後Android Auto経由のGoogle Maps EV Routingへの対応も予定されています。
充電ステーションに到着すると、BlueOval Charge NetworkのPlug and Chargeの機能(IECのISO 15118規格にに基づく統合)により、顧客のFordPassアカウントに保存された詳細情報を利用した自動支払いが可能となり、充電体験全体が合理化されます。同様に、3つ目の柱「Battery Confidence」は、Fordの8年間(または10万マイル)の高電圧バッテリー保証を提供します。この保証は特定のEVに限定されるものではなく、FordのEV全ラインナップの全モデルに適用されます。
最後の柱である「Ongoing Support and Guidance」は、新規および既存のイニシアチブをグループ化したもので、EV所有体験全体にわたって総合的なサポートをFordの顧客に提供することを目的としています。その中核となるのが、F-150 LightningとMustang Mach-Eのオーナーを対象とした新しい24/7 Electric Vehicle Supportスキームです。このサービスに加入すると、顧客は24時間365日、積極的な充電支援を行うライブサポートホットラインにアクセス可能となり、Ford の専属アドバイザーにEVのサポートをメールで依頼することもできます。またFordは、F-150 LightningとMustang Mach-Eのオーナーが車両に不都合な出来事に直面した場合にサポートすることを目的とした、もう一つの新しい取り組み「Proactive Roadside Assistance」も導入しました。例えば顧客のEVの充電が切れた場合、Fordが最寄りの充電ステーションまたは最寄りのディーラーのいずれかに顧客を迎えに行き、搬送するというものです。
次のステップ
Fordの「Power Promise」は、ガソリン車からEVへの乗り換えを検討している北米の自動車消費者に強力なインセンティブを提供します。FordはPower Promiseのファクトシートの中で、販売店で提供される様々なサポートオプション(特定の場所での無料のモバイルサービスやピックアップ&デリバリーなど)についても詳述しており、EV顧客により便利な顧客体験と、よりシームレスな所有体験を提供するというコミットメントが示されています。
Fordと同様、 EVはSBD Automotiveが年間を通じて発行する調査レポートや、EVエコシステム内外のプレーヤーに提供するコンサルティングサービスの中核を成しています。直近では、年2回更新している EV最新動向ガイドの最新版で、EVエコシステムにおける最新かつ最も興味深い情報やイノベーションを紹介しています。また、四半期ごとに発行している EV法制&インセンティブガイドでは、世界の電動化の取り組みを取り巻く最近の法的活動を深く掘り下げています。
各レポートは、世界のEV市場における重要な動向について最新の知見を提供します。普及の障壁、充電インフラといったトピックを網羅したSBDのEVレポートシリーズでは、EVを取り巻く状況を包括的にまとめています。