ラスベガスからSBDの視察チームがCES開幕初日の最新情報をお届けします。
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またこの日、150人を超える自動車業界のリーダーたちの前で、SBDからの発表も行われました。
CESにおけるAI以外の自動車テーマトップ3
人工知能(AI)は、メディアデーや多くの注目度の高い基調講演で、疑いなくその話題を独占しました。自動車業界内外を問わず、AI開発には莫大な資金が投入されており、今年のイベントの目玉としての地位を確固たるものにしています。
その前に、まずSBDの現地視察チームが1日を通して感じた、 AI以外の自動車に関する主要なテーマにスポットを当て解説していきます。
テーマ1:EVのプロトタイプが現実に
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EV市場の成長鈍化を懸念する声もある中で、重要な真実がひとつあります。それは、EV(およびPHEV/EREV)が依然として自動車メーカーにとって重要な成長市場であり、大きな投資需要が存在するという点です。世界的に自動車生産台数が横ばい状態にある現在、EV技術の成熟と消費者によるEVへの移行が進む中、自動車メーカーは迅速な対応を迫られています。2024年には電動化をめぐり悲観的な見方があったにもかかわらず、自動車メーカーが新型EVへの投資と市場投入の発表を続けているのは、こうした背景があるためです。今年のCESでは、複数の自動車メーカーが再びEVポートフォリオについて語る場となっています。
ホンダ:0シリーズSALOONとSUVのEVモデルの量産を2026年前半に開始する予定であると発表しました。ホンダは仕様や価格の詳細については明らかにしなかったものの、2026年というスケジュールから、数カ月以内に発表されるものと思われます。
Scout Motors:Volkswagenグループの子会社であるScout Motorsは、10月に発表されたSUV「Traveler」とピックアップトラック「Terra」(衛星コネクティビティ搭載予定)のプロトタイプを公開しました。これらは2027年に北米で発売される予定です。
Sony Honda Mobility:AFEELA 1 Origin EVを米国で89,900ドルからの価格で販売し、2026年半ばにカリフォルニア州で予約者向けに納車を開始すると発表しました。予約金は200ドルで、近日中にカリフォルニア州以外にも拡大する予定です。
ZeekrおよびGreat Wall Motor:中国のEV企業2社は、メディアデーでZeekrの広範な技術基調講演を含め、輸出向けEVポートフォリオを展示しました。
CES2025では、新しいEVの発表やコンセプトはそれほど多くなかったものの、各社が前年に発表したコンセプトのフォロースルーを見ることができたのは新鮮でした。おそらく2026年のCESでは、2024年のような不確定要素がなくなり、より多くの自動車メーカーから多様な新製品が発表されると思われます。
テーマ2:ソフトウェアディファインドビークル
ソフトウェアディファインドビークル (SDV)という用語は、プロセッシング・アーキテクチャとSoC(System-on-Chip)技術の進歩により、自動車メーカーが車両ソフトウェア開発の新たなアプローチを模索する中で、2021年に注目されるようになりました。このコンセプトに対する熱狂は急速に高まり、しばしばその意味するところが誤解されることもありましたが、2024年には変化が現れ、SDVは「幻滅の谷」に入ったと指摘する業界関係者の声もありました。しかしながらCES 2025では、その考えは払しょくされました。自動車メーカーとサプライヤーの両方がSDVのイニシアチブを支持し続けており、アーキテクチャの統合とソフトウェア開発の社内管理が依然として最優先事項であることが示唆されました。
ホンダ、トヨタ、Zeekr:自動車ソフトウェア開発の野心とSoC戦略を紹介しました。
BMW:センターディスプレイとHUDを含むデジタルコックピットのアップデートとアップグレードの可能性を拡張するオペレーティングシステムX(テン)を発表しました。
BlackBerry、Vector、TechAuto:セーフティクリティカルな機能を含む車載ソフトウェア開発のためのターンキー・オールインワン・ツールチェーンとして機能する共同ソフトウェア開発プラットフォームを発表しました。(詳細は後日)
AWS:特にHERE Technologies、Qualcomm、ValeoとのSDVを中心とした新しいパートナーシップを発表しました。
Red Hat:Intel Automotiveとの提携とともに、車載LinuxベースOSの混合クリティカリティ対応のためのISO 26262 ASIL-B認証の取得を発表した。認証の完全な取得は2025年後半になると見込まれます。
SDVとは実は製品でもアーキテクチャでもなく、自動車メーカーの製品作りにおける変化であり、すべての意思決定やサプライヤーに受け継がれる一連の原則を表しています。SDVというコンセプトをすぐに消滅するようなものではありません。自動車メーカーにとっての真の課題は、このテクノロジーを戦略的に活用し、消費者に具体的なメリットを提供することにあります。
テーマ3:シリコンと半導体の自動車分野における縄張り争い
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CESでは、車載用コンピュート市場のシェア争いが加速し、ほぼすべての主要なシリコン・エレクトロニクス・サプライヤーが、自社の車載向け価値提案と製品の最新情報を披露しました。
Intel:x86アーキテクチャを活用し、Qualcomm やNXPのような既存のプレーヤーに挑戦することを目的とした強力な競争力のあるポートフォリオを提示しました。
NXP:車載ソフトウェアおよびミドルウェアの大手ベンダーであるTTechAuto社を6億2500万ドルで買収したことを発表しました。
Qualcomm:自動車メーカーやサプライヤとの間に新たな設計の受注とパートナーシップを複数発表しました。
Nvidia:DRIVE Hyperion AVプラットフォームを発表する一方で、トヨタ自動車とUberとの新たな提携を発表しました。
Texas Instruments:同社のSoCが安全およびオーディオ領域でどのように使用できるかを紹介しました。
多くの自動車メーカーが車載コンピューティングアーキテクチャの設計と調達において直接的な役割を担う中、半導体業界は積極的にメッセージングを強化し、OEMの特定のコスト、機能、モジュール性、信頼性要件に合わせた製品開発を進めています。Intelの自動車への参入とNXPによるTTech Autoの買収は、車載コンピューティングだけでなく、ソフトウェアツールの領域でも新たな戦場が出現していることを浮き彫りにしています。
AIについて
CES 2025ではAIがいたるところに登場しました。そして今年は、自動車業界におけるAIをめぐる盛り上がりは、特に自動運転技術の進歩に集中していました。
月曜の夜に行われたジェンセン・フアン(Nvidia CEO)の基調講演で、彼はロボット工学の「ChatGPTの瞬間」がすぐそこまで来ていると主張した。
Cosmosは、Nvidiaのプラットフォーム「ワールド・ファウンデーション・モデル」(WFM)であり「物理AI」システムの開発を加速させるツールです。Cosmosのパワーは、「物理的な」世界のビデオや写真を含む2000万時間に及ぶロボット工学データを組み込んだ、実世界の物理に関するトレーニングにあります。>
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Cosmosは当初、Cosmos基盤モデルのオンデバイス版(Nano)と大規模版(Super/Ultra)の両方をサポートしており、モデルを活用した知覚および経路計画ソフトウェアの迅速なスケーラビリティを可能にしていました。またNvidiaは、Uberが同社のプラットフォーム上の何百万回ものトリップから得たデータを提供し、他社のAV目的のためにCosmosモデルのトレーニングをサポートすることも発表しました。Nvidiaがショーを席巻した一方で、AIは自動車メーカーからサプライヤーまで、ほぼすべての自動車関連の発表に登場し、SDVのような他のテーマにも織り込まれました。
SBDでは1月17日発行予定の無料速報レポートで、CESにおけるAIについて総括します。速報レポートの入手を希望される場合は ニュースレターの購読(無料)およびLinkedInページのフォローをお願いいたします。
その他の話題
拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR-HUD)技術、モジュール式車両キャビン、ノスタルジア技術、EVルーティングがCES 2025の重要なデザイン・技術トレンドとして浮上しているように見える一方で、SBD Automotive は、1月7日の朝(現地時間)に自動車業界 から150人以上のシニアリーダーを招き、第2回年次自動車OEM向けCES Breakfastイベントを開催しました。
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このブレックファストセッションでSBDは4S Mobilityの立ち上げを正式に発表しました。4Sモビリティは、自動車の技術革新と意思決定の最前線にテクノロジーではなく、消費者を据えることを目的とした非営利の共同プラットフォームです。この取り組みの中で、SBDは世界各国の自動車メーカーと協力し、自動車、そしてより広範なモビリティ製品の影響を測定するのに役立つ、共通のオープンな測定基準を確立したいと考えています。これらの測定基準は、次の4つのSを基本原則としています:Safety (セーフティ) Security(セキュリティ)Seamlessness(シームレス) Sustainability(持続可能性)
4S Mobilityの取り組みについての詳細は4smobility.comでご確認ください。
次回のインサイトでは、重要な収穫を振り返りながら、今年のCESがこれまでとどう異なるのかを深堀していきます。